「こじらせ女子」というキーワードをご存じでしょうか。自尊心が低く、無意識のうちにひねくれた思考をする女性のことだそうです。
…あまりポジティブなイメージではないですね。
この言葉、2011年に出版された『女子をこじらせて』という書籍で初出し、2013年の新語・流行語大賞にノミネートされています。著者は雨宮まみさん。
そんな雨宮まみさんの一冊、『まじめに生きるって損ですか?』をご紹介します。
作品情報
著者 雨宮まみ
発売日 2016年6月
出版社 ポット出版
あらすじ・作品説明
鮮烈なデビュー作『女子をこじらせて』から5年。対談集『だって、女子だもん‼』から4年。雨宮まみが、今度は、崖っぷちに立つ女子たちの愚痴を真っ向から受け止めます。
彼氏ができないのは「努力が足りないからだ」だと言われ続け、「努力っていったい何なんだよ⁉⁉」と吐き出す20代後半の女性。家事も子育て、さらには仕事も完璧にこなしているのに、夫から愛されない。「もう頑張れない」とつぶやく30代後半の女性。小沢健二似の美しい元彼との恋愛でズタズタになっても、やっぱり「美しい人」に惹かれてしまう20代前半の女性。努力、恋愛、見た目、生き方ーー、20代、30代の女子たちが抱える人生の愚痴15編。
(引用:ココロニプロロ https://cocoloni.jp/culture/29443/)
感想
私は「正しい」に振り回されて、生きにくくなることがあります。そういう息苦しさって、誰もが感じたことがあるんじゃないでしょうか。
人は「正しい」とか「正解」を求めてしまいがちだけれど、それが必ずしも受け入れられることではありません。そして、受け入れなければならないことでもありません。それは、体力がなければできないことでもありますしね。
様々な女性の愚痴を聞くという本書だけれど、有り体の愚痴聴きだけでは終わりません。
まず相手を否定しない。そのうえで自分の意見を言うこと。それができる人は、この世の中にそれほど多くはないのではないでしょうか。
ただ寄り添うだけでもなく、背中を押すでもなく、安心を感じる優しさを本書から感じます。
この本を読むと、言葉ってほんの少しのことで届かなくなるんじゃないかなあと思いました。「こじらせ女子」の言葉のように。肩書とか、世間の目とか、そういう付随する言葉だけではからないでほしい。
愚痴だったり悩みだったり、何かに縛られて身動きできなくなったとき。それでもいいのだと、受け入れる準備ができる本です。
フレーズ
努力が足りないことよりも、努力という言葉でごまかされる何かのほうを、おそれたほうがいいのではないか、と思うのです。(雨宮まみ『まじめに生きるって損ですか?』p051)
努力についてのコラムでの言葉です。この言葉を見たとき、私自身ごまかしているかもと思いました。
上手くいかなかったときに、努力が足りなかったと責めることは簡単です。でもそもそもその努力が本当に合っていたかも考える必要があるし、運やタイミングで成しえたことかもしれない。責めると建設的じゃないんですよね、その先が。
そういう簡単に言えてしまう言葉が、責めを重くし思考停止に陥っているのかもしれないなと改めて感じました。
いかがだったでしょうか。
私は本書を読み終わってから、雨宮さんの訃報を知りました。可能なら、もっと歳を経た雨宮さんの話を聞いてみたかったです。