小学校を卒業するときの最後のホームルーム。
無事卒業式を終えて、後はもう帰るだけとなったとき、担任の先生が1つの曲を流しました。
The Beatles の『Let It Be』
実家で洋楽を聴くことがあまり無く、Beatlesはコムサのお店でよくかかっているくらいの知識しかなかった私は、担任がなぜその曲を選び流したのか不思議でした。
もともと、音楽が好きだった担任。でもJ-POPが多かったので、最後の日に洋楽をかけたことも意外だったんですよね。
このタイトル『Let It Be』。
中学に上がってから、英文法の授業で訳すことがありました。
直訳すると
「あるがままにしなさい」「なるがままにしておきなさい」
Let~が使われているので~しなさい、になるのは納得なんですが。
なにかしっくりきませんでした。
「成り行きに任せなさい」というのもありますが、なんとなくたどり着く先がポジティブだとしても断定的というか、決めつけられている感がちょっと違うかな…と。
色々調べているうちに、一番しっくりきた言葉がありました。
「なるようになる」
これだ、と。
「なるようになる」は2つの意味を持っていて
- これから色々なことがあるだろう、けれどありのままを受け入れて
- そのままのあなたで大丈夫だから
曲『Let It Be』の歌詞を含めて考えると、この2つの意訳がとてもしっくりきました。
そうやって訳していた時、ふとある疑問が浮かびました。
あの時、そもそも担任は何を伝えたくてこの曲を流したんだろうか?と。
曲を流してくれたことは覚えているのですが、それがなぜなのか、理由や説明があったのかを思い出せないのです。本人に直接聞くことができればいいのですが、連絡先もわかりません。
結局、思い出せないまま月日が経ち、私は大人になりました。
今この曲を改めて聴くと、「なるようになる」の解釈は担任の想いに当たらずとも遠からずなんじゃないかなと勝手に思っています。
個人の解釈はさまざまですし、時代によっても変わるだろうということはわかっているのです。でも、こうやってみるとあの担任が言いそうだなあと思うし、かつ私はエールを受けた気持ちになります。
無理せずいきなさい、大丈夫だから、と。
担任がどこまで考えておられたのかわからないけれど、確かにそんなメッセージがあるのでは、なんて。
都合が良いでしょうかね。
何を話していたかは思い出せないけど。
最後の時、黙って曲を聴き、タイトルを黒板に書いた担任。いつも綺麗な担任の字が、その日は少し歪んで黒板に書かれていたことを覚えています。
そしてあの時の担任の顔が、今も忘れられないでいます。
今も教壇に立っておられるのかわからないですが。
元気で過ごしておられるといいなあ。